その名前を聞いた時、私は思った。
”またか”
ダスティンがさ、A+取ったのよね。
頑張ったご褒美に、いーっぱいお祝いしてあげよう!ってコトで、
フタモラウンジで待ち合わせしたの。
カラオケして、プリクラ撮って、美味しいゴハンでも食べて。
今日は全部、私が奢っちゃう!って思ってたんだけれど。
な・ん・で。
ダスティンの口からもあの子の名前が出ちゃうのよ?
さっき、家を出る前にもママに訊かれたばっかりなんだよね~。
リリスのコト。
ぶっちゃけ、ウンザリなんだけれど。
昨日、ダスティンってば、ダーク君に絡んじゃったらしいんだよね。
リリスの目の前でさ。
気づかないで絡んじゃったらしいんだけれど。
で、リリスに逆に絡み返されちゃったんだって。
まあ、つまり要するにあれかな。
「びびちゃったってワケだ。」
「ちが・・・!
びびってなんかねぇよッ!
てか、カラんでもねぇし!!
せ、せんせん布告つーの?
それしただけだし!」
ふーん。
「じゃあ気にするコトないんじゃない?」
私の意見に、お、おうって返事しつつも、でもよぉ・・・と、ダスティンは続けてきた。
なんか悪い事しちまったかな?とかなんとか。
何でそう感じちゃってるのかワケわかんないんだけど。
「アンジェラの妹だし・・・。」
関係ないし。
それに、あの子のコトはもういいってば~。
「・・・でさ、さり気なく
その、あやまっといてくんねぇかな?
リリスに。」
はあ?
ちょっと待って。
代わりにって、何で私が謝らなきゃいけないのよ。
あの子に。
冗談キツ!
ダスティンには悪いけど、なんか、イライラする・・・。
だからかな。
もしかしたらダスティン泣いちゃうかも!?ってくらい、私、イジメちゃった。
そんなコトより、大事なコト忘れてない?って。
A+取ったからって浮かれてる余裕なんてあるの?みたいなコト、言っちゃったんだよね。
かなりキツく。
でもさ、実際、A+って言っても、ダスティン、シェルタークラス(標準レベル以下のクラスね)の科目も結構あるからさ。
上位クラスのオナーズはいいとしても、レギュラークラスには全科目入っててくれないと。
正直、ギリ。
進学。
単位はなんとか取れてるみたいだけれどね。
それでも、うん、ちょっと言い過ぎた。
自分でもいやんなっちゃう。
ダスティン、黙っちゃったし。
何でこんなにイライラしちゃったんだろ、私。
やばい。
謝んなきゃ。
「・・・言い過ぎた。
ダスティンはスッゴイ頑張ってるのに。
ゴメンね。」
「いや、いいよ。
アンジェラが言ってんの、ホントのコトだし・・・。」
でも、ダスティン、俯いたままじゃん。
思いっきり凹んじゃってるよ。
あ~あ、なんか雰囲気悪くなっちゃった。
私もまだまだだな。
しょうがない。
我慢するしかないか。
「あのね、ダスティン。
昨日、ママの実家から子犬貰ったんだ。
凄く可愛いから、明日、家に見においでよ。」
そう言うと、ダスティンはえ?って顔をした。
うーん、察しが悪いかも。
さすがダスティンだね。
そういうところ、可愛いから好きだけれどさ。
可愛いダスティンの為に、私は続けた。
「私からより、ダスティンが直接リリスに言った方が、
ダスティンもスッキリしていいんじゃないかな?
私も協力する。」
ホントはイヤだけれど。
でも、私があの子に謝るのは、もっと無理だからさ。
「今日はさ、ちゃんとお祝いしたいし。
色々言っちゃったけれど、私も凄く嬉しいんだよ?
彼氏の頑張りが報われてるんだもん。」
これはホンネ。
「だから、仕切り直しよ?
私、ダスティンといっぱい一緒に楽しみたいな。
ねっ?」
そこまで言うと、ダスティンは、サンキュって一言だけ返してきた。