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The Sims2 Heart-シム2日記-
ダレン ドリーマー
 

【日記リスト】
ジレンマ
ジレンマ
『許すべきではありませんよ、ハーブさん!』

俺は、ハーブ・オルディーさんとの会話を思い出していた。
ハーブさんは、うちのご近所さんだ。
奥さんであるコーラルさんと二人暮しをしている。
雑種だが、ダニーとサラという、立派な大型犬も飼っていて、彼らとの散歩がハーブさんの日課だ。
会えば、世間話をしたりなど、仲良くさせてもらっている。
だが、不思議な事に、今まで互いの家を訪ねあったりした事はなかった。
そのハーブさんが、ダニー達を連れて、昼間に家を訪ねてきたんだ。

『突然で申し訳ない、ダレンさん。
 ふと寄ってみただけなのですが・・・。
 もしや、お忙しかったですかね?』
 
よほど俺は酷い顔をしていたのだろう。
俺の顔を見て、ハーブさんは訪ねてきた事を後悔したようだった。
実際、俺は疲れていた。
カサンドラから頼まれた絵に、夜通しで取り掛かっていたからだ。
一睡もしていなかった。
さすがに、仮眠くらいは取ろうかと考えてはいたのだが。
しかし、眠りに落ちる気にはなれないでいた。
だから、ハーブさんのこの訪問は、俺としては、むしろ大歓迎だった。

『丁度、一区切りつけようと思っていたところですよ。
 どうぞどうぞ上がってください、ハーブさん。』

そう答えると、ハーブさんは安堵した表情を見せた。
それから裏庭で一言二言交わすと、話題は、ハーブさんの娘さん夫婦の話になった。

『それは災難ですね。』

先日、ハーブさんが娘さんのご主人に投げ飛ばされたらしい。
最初は、同情しながらも、ハーブさんの話を冷静に聞いていた。
だが、気が付けば、俺はその娘さんの夫とやらに、はっきりとした怒りを感じていたんだ。
そもそもの原因が、娘さんの夫の浮気だったと聞いて。
そうなんだ。
俺は、ハーブさんの娘さん夫婦に、カサンドラとドンを重ね合わせていたんだ。

もしも、もしも彼が、そんな事をしたら?
噂の絶えなかった、あの男の事だ。
今も尚、そんな真似をしていたとしたら?
それによって、カサンドラが傷つけられていたとしたら?
傷つけられるとしたら?
考えただけで、怒りが湧き上がってくる。
許さない、許すべきではない。

そのような事があったら、俺は最早遠慮などしない!
そう誓った。
その時には、傷ついた彼女の元に真っ先に掛け付け、彼女を慰めよう。
今度こそ、彼女の心を手に入れよう。
卑怯でも何でも構わないんだ。
彼女を手に入れたい。
そう誓った。
そうなる事を心のどこかで願っている俺も、いるのかもしれない。
そう考えると、俺は自分自身にも耐えられなかった。

彼女の傷つく顔は、何よりも見たくないのに。
彼女が傷つくような事など、何よりも起こって欲しくないのに。

カサンドラを、愛しているから。

「父さん、ちょっといい?」

どうしようもないジレンマに陥っていると、不意に息子の声がした。
気が付けばもう日が傾いていた。
ハーブさんが帰ってから、俺はどれくらい、こうしていたのだろうか。

「ああ、帰ってたのか、ダーク。
 お帰り。
 どうした?」

「うん、ちょっと相談があるんだ、父さん。」

”相談”という言葉に俺は反応した。
彼は今まで、”相談”という形で、言葉を口にした事など無かった。
ダークはよくできた息子だ。
親の俺から見ても、しっかりしすぎるくらいに。
それが初めて、”相談”という言葉を口にした。
悩み事だろうか?
俺がいぶかしんでいると、ダークは安心させるかのように笑って付け加えた。
進学のことでだよ、父さん、と。