部屋に飾ってある写真を見て、わたしは訊いてみた。
「髪型とか全然違うけれど。
これ、あんたなの?」
「え、あ、は、はい、そうです!」
どもりながら返事してきたのは、昨日、
P.U.R.E.にいた変なメイクの男。
朝目覚めたら、わたし、そいつのベッドにいたの。
でも、様子見た限り、なんにもしてないみたい。
変わった奴よね。
「この人たち、知ってるわ。
もしかして、知り合い?」
一緒に写っている男女を見て、ちょっとだけ興味がわいたの。
ロバート・キムとシンシア・キム。
昔、テレビで見たわ。
なんとか家族キムっていうドラマで。
「と、とんでもないです!
知りあいだなんて!
会ったことも、ありません・・・。」
「写真に一緒に写っているじゃない。」
「ご、合成です。
雑誌にあった2人の写真を、
パソコンで、その、ちょっと加工したんです。
ぼ、僕、昔からのファンだから・・・。」
「合成!?
パソコンってそういう事もできるの?
・・・凄いわね。」
そうよね、こんな冴えなさそうな奴が、有名人と知り合いなわけ、ないわね。
それにしても、さっきまでおどおど口調だったくせに。
ちょっと話を振っただけで、得意げにパソコンの凄さについて語りだしたわ。
目まで輝いてるじゃない。
有名人と自分の合成写真なんか作って。
部屋に飾っちゃったりなんかして。
毎日、これ見ながらニヤニヤしちゃってるのかしら。
・・・キモイ。
「そういえば、メイク落としたのね。」
パソコンの話なんて興味ないわ、わたし。
「あれ、何だったの?
罰ゲーム?」
「え、あ、あれは、その、騙されて、その・・・。」
またどもり出した。
もっと軽快に喋れないのかしら、こいつ。
彼だったらもっと・・・。
・・・。
何でもない。
「まあいいわ。
久々に大笑いさせてもらったし。」
ほんと、あんなに可笑しかったのは久し振りかもしれない。
「楽しかったわ。」
「あ、あの!
ぼ、ぼ、僕、チェスター・ギ、ギークです!
あ、ギ・ギークじゃなくて、チャスター・ギーク!」
何、いきなりこのタイミングで自己紹介しているのかしら?
変な奴。
「・・・ニーナ。
ニーナ・カリエンテよ。
一晩泊めてくれてありがと。
じゃ、さよならね。」